芸術家 故 岡本太郎氏が残したこの本は色んな著名人・有名人がお薦めする本の1冊に挙がってくるので読んでみた。作者が芸術家なだけに、正直芸術に全く疎い(というか芸術に興味関心がなかった)私が楽しんで読める本なのか不安だったがその心配は無用だった。これは芸術の本というのも正しい表現なのだろうが、人間としての生き方とか、今の世の中に対する見方だとか、想像するよりもっとマクロな視点で、誰もがハッとさせられるような物言い・考えが散りばめられていると感じた。特に私がこれはと印象づいたフレーズを挙げながら記す。
1章 迷ったら危険な道にかける
この章では、「他人を基準に生きてませんか?」という問いかけが中心に書かれていた。
大人になり経験値が増えてくると、過去からの経験から「こうしない方がいい。なぜなら」と打算的で楽な道を辿るようになる。特に人間関係のことになると出る杭は打たれるため、余計な変化はさせないように心がける。と同時に、自分を生きられなくなってしまう。だからこそ自分を生きるためにあえて危険(≒挑戦と理解)を選ぶ。他人に人生を決めてもらうのは人を生きていない卑しい考え方である。
2章 他人と同じに生きると自己嫌悪
人生すなわち闘い。闘うことが生きがい。冒険とも言い換えられる。自分を誤魔化さないからその人の魅力になる。あえて敗けていけばいい。社会のシステム(=矛盾)と戦い続ける。うまくやろうとすると社会のベルトコンベアに乗ってしまう。
3章 愛し方愛され方
愛とは無条件なものである(恋愛だろうが家族愛だろうが)。与えたらもらえる関係は愛ではない。あの人と結婚すれば安定が・・・という打算は売春行為である。好きな相手を前に自分を低く見積り、引っ込む必要はない。自分は好きだという気持ちに素直でいることも愛である。愛情の対象は身近な人だけ(狭い愛)ではいけない。世界中の子供は自分の子供、世界中の親は自分の親のような豊かな気持ちで接していきたい。
4章 いつも喜びと興奮に満ちる
キレイであってはいけない、美しくあること。キレイとはその時代の世間で良しとされる型にはまっていることをいう。美しいとは相手に刺激・変化を与えることである。美術など作品で評価が割れるのは喜ばしいことである(個がぶつかった証拠である)。逆に「いいよね」という評価は「別にどうでもいいよね」と同意。
政治・経済に並んで”芸術”、3権分立を考える。今の政治と経済には人間という道徳が欠けている。エコノミックアニマル化しつつある特に日本のような先進国こそ深刻な問題として加速してしまっている。職業は必要だが「それ以外の教養・情熱はありません」になると単なる社会システムの部品になってしまう。もっと人間を生きよう。
最後に なかなかまとめられなかったが、私自身心に留めたいと思ったことを忘れないよう書き出した形になった。本の詳細は作者の実体験が中心になっており、強い言葉の裏にある重みのあるメッセージ性をヒシヒシと感じた。熱を持たず・持てずにいる者にとって非常に刺激的な”芸術”を感じ取れる本ではないかなと思う。
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